当社実績

一括賃貸借契約(サブリース)の継続賃料

1.所在地

 千葉県の住・工混在地域

2.依頼目的

 建物一括賃貸借契約(特殊事情ありのサブリースと推察される。)に基づく、当該「実際支払賃料改定の参考として」である。

3.類型

 建物及びその敷地の賃料

4.賃料の種類

 継続中の建物一括賃貸借契約(特殊事情ありのサブリース)に基づく実際支払賃料改定の参考としての評価であり、「継続賃料」と判定した。

5.評価手法

 継続賃料とは、「正常賃料(新規賃料)」に対比する概念であり、不動産の賃貸借等の継続に係わる、特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料である。即ち継続賃料とは、賃貸借等の契約に係わる実際支払賃料を改定する場合のものであり、契約の当事者が特定されていることにその特徴があり、多分に法的・私法的な諸事情からの影響を受ける(契約等によって縛られている)経済価値であるということができる。従って、このような言わば制約つきの経済価値は、まさしく特定当事者間でのみ妥当性ないし相当性を有する言わば主観的な経済価値だということができる。
 具体的にはA.差額配分法、B.利回り法、C.スライド法、D.賃貸事例比較法等の手法を適用し、かつ当該契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案することにより求めるのが原則である。
 建物一括賃貸借契約(サブリース)とは、「元来は、賃借人が更に第三者に賃貸(転貸) することであり、不動産取引の場合、特に賃貸住宅において、空き家リスクや管理面のわずらわしさを避けるために、賃貸住宅のオーナーから管理会社等が一括して借り上げ、賃貸経営を行なう方式である。」とされている。
 形式的な要件としては、通常、【1】最低賃料の保証、【2】建物建設費の全部又は一部に充当される敷金の提供、【3】長期間(10年〜20年)の契約期間の約定、及び【4】サブリース会社の事情による中途解約の場合には違約金を支払う旨の特約等が挙げられる。しかし、建物一括賃貸借契約(サブリース)の場合において、本件の如く賃貸人の特殊事情を多分に含むと推察される場合には、実際支払賃料の減額請求及び相当支払賃料の判定等は、借地借家法第32条1項の賃料減額請求の可否のほか、契約の自治・信義則の適用等の法的問題に加えて、賃貸人の資金事情・賃借人の財政的事情等を勘案のうえ解決すべき現実的問題が含まれており、極めて法的判断によるべきものと考えられる。よって、これらの法的問題及び現実的問題が裁判所によって解決される前に、通常の継続賃料の手法を適用して建物一括賃貸借契約の賃料自体の評価をすることは不適切であると思料するため、本件評価にあたっては、「通常の建物賃貸借契約における正常支払賃料(新規賃料)」を求めることにより、以って「現行の実際支払賃料」の適正妥当性を検討・検証することにしたものである。
 建物及びその敷地の正常支払賃料(新規賃料)の鑑定評価額は、当該建物賃貸借の契約内容による使用方法に基づく建物及びその敷地の経済価値に即応する賃料を求めることとし、積算賃料及び比準賃料を関連付けて決定するものとしている。この場合において、純収益を適切に求めることができる場合には、収益賃料を比較考量して決定するものとしている。しかし、本件は前記の通り建物一括賃貸借契約に基づいたものであるため、一般企業経営を前提にした収益賃料については断念することとした。
 これらのことを勘案考慮したうえで、かつ依頼者等からの事情聴取等に基づき、以下の通り評価することにした。

i )
最初に、積算賃料及び比準賃料を比較考量し関連付けることにより、正常支払賃料(新規賃料)を求める。
ii )
次に、上記 i )正常支払賃料(新規賃料)より現行の実際支払賃料を控除することにより賃料差額(本件ではマイナス)を求める。この賃料差額部分について、「当初建物賃貸借契約にて合意した現行の実際支払賃料」を上限とし、「減額改定請求時の通常の建物賃貸借契約における正常支払賃料(新規賃料)」を下限として、その範囲内で適正配分する賃貸人・賃借人両当事者及び一般経済社会の成長・貢献度等の衡平・均等の観点から検討して適正に配分することになる。
 なお、配分率については、これまでの継続的な信頼関係の確保・維持等を念頭に置き、賃料の急激な変動を避けるということ、及び判例・通説等をも総合的に充分考慮勘案するに、衡平の観点から2分の1法が適正妥当であると思料する。
 この場合、基礎価格が上昇しつづけている状況下を前提にすれば、上記賃料差額は通常プラスであるため、改定賃料は現行の実際支払賃料に適正妥当な配分額を加算して求めることになる。その結果として、できるだけ正常支払賃料に接近させようとすることに本質があるように判断される。本件の如くマイナスの賃料差額についても配分するという趣旨は同様であると思料する。…【マイナスの差額配分肯定説】
 しかし、この点については、正常支払賃料基準値・上限値説(正常支払賃料は、合理的な市場で形成されるであろう経済価値を表示する適正な賃料であるから、継続支払賃料も正常支払賃料を基準にして決定すべきであり、マイナスの差額配分は原則として行なうべきではない。…【マイナスの差額配分否定説】)もあり、その他異論のあるところである。
iii )
最後に、本件は建物一括賃貸借契約(特殊事情ありのサブリース)に基づく実際支払賃料改定の参考としての評価であることに鑑みた結果、正常支払賃料基準値・上限値説は妥当ではなく、あくまでも通常の建物賃貸借契約における正常支払賃料(新規賃料)を求め、かつ「当初建物賃貸借契約にて合意した現行の実際支払賃料」を上限とし、「減額改定請求時の通常の建物賃貸借契約における正常支払賃料(新規賃料)」を下限として、その範囲内で適正配分することにより、当該建物一括賃貸借契約(特殊事情ありのサブリース)の適正・相当な改定賃料を求めることが原則的な考え方であると思料する。
 しかし、本件では、前記の通り、建物一括賃貸借契約(サブリース)には法的問題に加えて、賃貸人の資金事情・賃借人の財政的事情等を勘案のうえ解決すべき現実的問題が多分に含まれており、賃料差額の配分等については極めて法的判断によるべきものと考えられるため、「通常の建物賃貸借契約における正常支払賃料(新規賃料)」を求めることに留め、具体的な配分等は裁判所等の法的判断に委ねることとしたものである。
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