時価評価について

時価会計とCRE戦略

時価会計の進展そして企業価値の向上を目的とするCRE戦略の導入など企業不動産の適正な時価をどう評価するのか、また保有する不動産が経営資源として有効活用されているのか、 不動産を保有することの意味が大きく変わろうとしています。企業は時価会計とCRE戦略の両方を総合的に管理運営することが今後欠かせなくなります。

時価会計では、現在、賃貸等不動産(※5)の時価評価の対応が注目されています。賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準・適用指針(2010年3月31日以降終了する事業年度の年度末から)の適用が決まっています。保有する賃貸等不動産を時価評価又は取得原価で評価されている場合は時価等を注記することとなります。対象は上場企業及び資本金5億円以上又は負債200億円以上の企業となっていますので、必ずしも不動産会社とは限りません。時価の算定方法は自社における合理的な見積り又は不動産鑑定士による鑑定評価(※3)等となります。

日本の時価評価

不動産の時価は次の価格で算定されています。

【1】
公示地価格(※1):毎年1月1日時点の時価評価額として国土交通省が発表
【2】
基準地価格(※1):毎年7月1日時点の時価評価額として都道府県が発表
【3】
路線価価格(※2):毎年1月1日時点の公示価格の80%の割合の価格として国税庁が発表。
【4】
固定資産税評価額(※2):3年毎の1月1日時点の公示価格の70%の割合の価格として市町村(総務大臣の定めた評価基準により)が発表。
【5】
不動産鑑定評価(※3

とありますが、【1】〜【4】までは対象不動産の時価評価において、何らかの補正が必要であるため、個々の不動産の評価においては、従来から【5】の不動産鑑定評価(※3)が必要とされてきました。

但し今後は、企業会計における不動産の時価評価の一部義務化やCRE戦略等の進展等を背景に、不動産鑑定評価の需要が増大することが想定されるため、従来からの鑑定評価(※3)のほかに不動産鑑定基準に基づかない価格、「価格等調査報告書」(※4)として発行する場面が増大するものと予測されています。不動産鑑定評価書(※3)は不動産鑑定基準に基づくため、一定の手順を遵守する必要がありますが、価格等調査報告書(※4)は、依頼者、第三者の利害を損なわない限り、一部を省略として発行することが可能となりました。これにより、料金、納期が大幅に短縮することができ、依頼者のニーズに対応したサービスが可能となることが期待されています。

まずはご相談ください

賃貸等不動産の時価評価のご依頼は、当社も承っておりますので、お気軽にご相談いただければと存じます。
【注】

※1:
各ポイントはその地域の標準的な画地であり、いずれも時点が1月と7月の年二回のため、指標とはなるが正確な時価評価額の算出にはなりにくい面がある。
不動産は夫々形や位置が異なるため個別性が強い。
※2:
土地基本法第16条の趣旨等を踏まえ、相続税路線価価格においては1992年度(平成4年度)から地価公示価格の8割を目途に、固定資産税評価額においては平成6年度の評価替えから地価公示価格の7割を目途に、それぞれ評価を行っている。
※3:
不動産鑑定評価書
鑑定評価額:不動産鑑定基準に基づく価格(不動産鑑定評価書として発行)
※4:
価格等調査報告書
調査価額:不動産鑑定基準に基づかない価格(価格等調査報告書として発行)
※5:
賃貸等不動産とは、棚卸資産に分類されている不動産以外のものであって、賃貸収入益又はキャピタル・ゲインの獲得を目的として保有されている不動産です。したがって、物品の製造や販売、サービスの提供、経営管理に使用されている場合は賃貸等不動産には含まれません。

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